(1)本研究は、汎熱帯海流散布植物がどのようにして、全世界の熱帯・亜熱帯の海岸域に一種が一様に分布するという特殊な分布パターンを、獲得・維持してきたのかを、分子集団遺伝学的な手法を用いて明らかにすることを目的とした。 (2)当初計画では4年間の研究期間内に、代表的な汎熱帯海流散布植物であるオオバヒルギ属植物、ナガミハマナタマメ、ハマアズキ、オオハマボウ、モダマとそれらの近縁種について、分子マーカーを用いた解析を行って、近縁種との分化のパターンや、集団間の地理的構造を分類群横断的に比較し、海流による頻繁な長距離種子散布が、全球的な分布域の維持にどのように貢献し、また、どのような共通要因のもとで種分化が生じたかを明らかにすることを計画した。 (3)2007年から2009年の3カ年で、葉緑体と核の複数の遺伝マーカーを用いて解析を実施することができた。なお、この研究は、研究協力者である高山浩司氏(当時日本学術振興会特別研究員PD)の全面的な協力のもとに行われた。
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