研究概要 |
種子休眠性に関して異なる特性を示す4集団からトウカイコモウセンゴケ個体と、同所的に生育している地点からは両親種を、各々5株採集し、温室内で栽培するとともに、種子の採取と恒温条件下での無菌播種、発芽試験を行なった。現在まだ明確な結果が得られていないものの、平成20年度前半には無菌株と発芽試験の結果が得られる予定である。また、関西地方、四国の集団、F1雑種であるとされている九州のヒュウガコモウセンゴケについても採集し栽培中である。これらの個体からのDNAの回収と、LFY遺伝子の発現解析のための遺伝子特異的プライマーの検討およびPCR条件の検討を行なったところ、現在の条件ではまだ増幅の有無が鋳型の純度に依存するため、野外個体で実験する場合は抽出条件を再検討する必要がある。ただし、これまでの経験から室内で栽培した無菌個体には現在の条件で適用可能と考えられる。 トウカイコモウセンゴケの持つ上記のような様々な形質の解析には,その雑種形成過程での母親と推定されているコモウセンゴケの変異を正確に把握しておく必要がある。コモウセンゴケは被子植物の中でも極めて特異な南北分布をしていることで知られ,オセアニアから東南アジアを経て東北地方南部まで分布している。このためオセアニア地域での変異の把握を試みた。本年度はニュージーランドに赴き,両島から報告のある6型の内,4型の種子の採取に成功した。他の2型は絶滅寸前であり,発見出来なかった。現在4型につき発芽を試みている。
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