生活史特性の異なる4地点由来のトウカイコモウセンゴケ、コモウセンゴケ、モウセンゴケのゲノムDNAを、メチル化感受性および非感受性の制限酵素で切断しゲノム全体のメチル化について調べたところ、顕著な違いではなかったもののモウセンゴケゲノムが最もメチル化の度合いが高いという結果が得られた。AtpG遺伝子の発現解析からはトウカイコモウセンゴケでは両親由来の遺伝子が両方発現しているとの結果が得られており、これらのことから、異質倍数体であるトウカイコモウセンゴケでは、両親種由来の遺伝子が両方発現することにより両親種の形質を併せ持つ可能性が示された。しかし、トウカイコモウセンゴケサンプル間で、培養条件下における花序茎形成およびメチル化の度合いにやや違いが見られたことから、個体間で、個々の遺伝子発現がメチル化の違いにより制御されている可能性はあると考えられる。 フィールド調査は沖縄本島で行った。ニュージーランドでは白花がすべてであり、日本本土と大きく異なっていたが、沖縄では白または薄いピンクであるとの情報があり、確認する必要があった。実際、現地で観察したところ、すべてが白花個体であった。ただし、花の形態は本土のものとまったく同じものであった。また、愛知県でトウカイコモウセンゴケの越冬様式の解析を行った。
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