研究課題/領域番号 |
19370036
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研究機関 | 基礎生物学研究所 |
研究代表者 |
長谷部 光泰 基礎生物学研究所, 生物進化研究部門, 教授 (40237996)
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研究分担者 |
村田 隆 基礎生物学研究所, 生物進化研究部門, 准教授 (00242024)
日渡 祐二 基礎生物学研究所, 生物進化研究部門, 助教 (10373193)
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キーワード | ポリコーム遺伝子 / CLF / FIE / 世代交代 / 進化 / 胞子体 / 配偶体 / 幹細胞 |
研究概要 |
PpCLFの全生活史を通した発現解析を行った。その結果、原糸体から原糸体、茎葉体形成時にはPpCLF遺伝子が発現し続けていることがわかった。さらに、茎葉体における造精器、造卵器形成時にも発現が継続していた。さらに、未受精卵ではPpCLFの発現が検出できるが、受精の前後で発現が消失することがわかった。さらに、胞子体幹細胞が分裂を停止する前後で発現が再び検出できるようになり、減数分裂、胞子形成時に発現しつづけていた。胞子においては発現検出できなかったが、胞子発芽直後より発現を検出できた。遺伝子破壊株の表現型観察(赤色光下における分化細胞から幹細胞分化における役割の解析)を行った結果、側芽形成にPpCLFが正の役割を果たすことがわかった。ヒートショックプロモーターにPpCLF cDNAを結合した遺伝子の導入によって、誘導的過剰発現実験を行った結果、胞子体様組織先端の頂端幹細胞が分裂を停止し、胞子嚢形成が開始した。しかし、減数分裂には至らなかった。上記の受精卵におけるPpCLFの発現消失について、これまで植物においては発生過程におけるヒストン修飾のゲノムワイドな変動は報告されておらず、今回の実験結果はたいへん興味深い。そこで、PpCLFが関係すると考えられるH3K27me3修飾について、免疫組織染色によりゲノム全体のヒストン修飾状態が変わっているかを調べるための実験系の確立を行っている。受精卵は造卵器に包まれているため、レーザーで穴を開けるなどの方法を開発中である。さらに、MET1遺伝子破壊体を作製したが、PpCLFに類似した表現型は得られなかった。
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