研究概要 |
昨年度, GatCAB単体の結晶化条件の最適化により, GatCAB単体の1.9A分解能での構造解析に成功し, tRNA認識に重要であると示唆されているGatBのC-tailドメインの構造を構築することができた. グルタミナーゼとキナーゼ反応のカップリング機構を解明するために, 本年度は, 得られた全長の構造に基づいて, バイオインフォマティクス, 変異体のアッセイおよびX線溶液小角散乱(SAXS)の解析によって詳細なtRNA^<Gln>認識機構の解明を行った. まず, GatCAB全長とGatDE-tRNA^<Gln>複合体の立体構造を重ね合わせることによってGatCAB-tRNA^<Gln>複合体モデルを作成した.次に作成したGatCAB-tRNA^<Gln>複合体モデルにおいて, tRNA^<Gln>の認識に関与すると予想される部位に注目し一次構造比較を行ったところ, GatBにGatCABに特徴的な配列(cradleドメインに3_<10>ヘリックス, C-tailドメインにGlyが保存されている)を見いだすことに成功した. さらにGatCABとtRNA^<Gln>変異体を作成し, tRNA^<Gln>の認識をゲルシフトアッセイとアミドトランスフェラーゼアッセイで確認したところ, GatBのcradleドメインに存在する3_<10>ヘリックスとC-tailドメインに保存されたGlyがtRNA^<Gln>認識に重要であることが明らかになった(論文準備中). また, SAXSを用いてGatCAB-tRNA^<Gln>複合体の立体構造情報を得ることを試みた. その結果, GatCAB単体とは大きく異なるGatCAB-tRNA^<Gln>複合体の分子外形をモデリングでき, GatBのみでtRNA^<Gln>を認識し, tRNA^<Gln>のU1-A72はcradleドメイン, D-loopはC-tailドメインで認識することが示唆された.
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