研究課題
超好熱性古細菌Thermococcus strain KS-1由来Group II型シャペロニンは、ATP結合によりサブユニットの頂点ドメインに位置するhelical protrusionを中心とした構造変化が引き起こされ、シャペロニンがopen構造からclosed構造へと変化することで、補足した変性タンパク質をシャペロニン内部空洞に閉じ込め、フォールディングを促進する。このATP依存的な構造変化はシャペロニンサブユニット間の協調した作用により引き起こされるが、その詳細は解明されていない。我々は、シャペロニンリング内の特定の位置に変異サブユニット(G65C, ΔATPase、 Δhelical)を導入した様々なシャペロニンを作成し、フォールディング活性、構造形成の詳細な解析を行った。その結果、ATP加水分解におけるサブユニット間の協同性は低いことが分かった。一方、helical Protrusionはフォールディングにおいて非常に重要な役割を担っており、隣接するhelical Protrusion間の相互作用が基質タンパク質フォールディングに必要な構造変化に重要であることを明らかにした。様々な手法での分子機構解明を可能にするために、T. KS-1由来シャペロニンの低温適応化を試みた。44種の様々な至適生育温度の生物種のII型シャペロニンのアミノ酸配列のアライメントを行い、低温適応化に関与していると予想される4つの残基(H76N、 E187D、 K323R、 A523K)を推定した。T. KS-1由来シャペロニンαサブユニット遺伝子に部位特異的に推定された変異を導入し、4つの変異体CPNαH76N、 CPNαEl87D、 CPNαK323R、 CPNα A523Kを得た。これらの変異体のGFPリフォールディング及びATPase活性測定を野生型と比較した。その結果、CPNαEl87D、 CPNαK323R、 CPNα A523Kは比較的低温でのGFPリフォールディング活性測定におけるアレスト活性に改善が見られた。
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