研究概要 |
貪食受容体Draperを介したアポトーシス細胞貪食の仕組み解明を目的として研究が実施され,以下のような成果が得られた。これらの成果を記述した論文原稿が学術誌にて審査中である。 1)Draperが認識する貪食目印分子の同定と性状解析 2つのDraper結合性タンパク質のうちPretaporterと名付けた方を解析した。Pretaporterは,通常は小胞体に存在し,アポトーシス時に細胞表層に移動するタンパク質であった。発現を欠損したショウジョウバエを調べ,Pretaporterはアポトーシス細胞貪食に必要だと分かった。さらに,強制的にPretaporterを表層に発現させた細胞は,アポトーシスを起こすことなく貪食された。これらの結果より,PretaporterはDraperが認識する貪食目印分子であると結論された。もうひとっのDraper結合性タンパク質については解析途中である。 2)貪食目印分子に結合するDraperドメインの決定 Draper細胞外領域のさまざまな欠失変異体の作成を行った。ウイルスベクターを利用した小規模実験で目的タンパク質が得られることが分かり,現在は大量調製の準備を進めている。 3)貪食目印分子の標的細胞表層への出現機構の解明 Pretaporterが小胞体から細胞表層に移動する仕組みについては20年度の課題としたい。 4)Draperから伝達される食食誘導性情報経路の解明 pretaporter遺伝子は,draper遺伝子及び情報伝達因子Ced-6の遺伝子とも遺伝学的相互作用を示した。よって,Pretaporterの結合したDraperからCed-6へ情報が伝達されると考えられた。
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