平成20年度の交付申請書に記載した4つの目的について、以下のような研究成果が得られた。 1. DraperとPretaporterとの結合様式の決定 本課題については、まだ結論が得られていない。Pretaporterをマルトース結合タンパク質、Draper細胞外領域をGSTとの融合タンパク質として、それぞれ調製した。in vitro結合アッセイの予備的実験は済ませたが、これらの組換え型タンパク質を用いた実験はまだ行っていない。平成21年度での課題としたい。 2. Pretaporterの結合によってDraperから導かれる貧食誘導性情報伝達経路の解明 これについては、部分的ではあるが結論が得られた。ショウジョウバエを用いた遺伝学的な解析を行い、Pretaporter→Draper→Ced-6→Rac1/Rac2という経路で貧食反応が誘導されることを見いだした。Draper→Ced-6及びCed-6→Rac1/Rac2の二つの矢印にはさらに情報伝達因子が存在すると予想され、これらの同定を平成21年度での課題としたい。 3. Pretaporterのアポトーシス時での小胞体から細胞表層への移動機構の解明 この課題については、まだ手つかずの状態である。アポトーシス過程でのPretaporterの化学修飾が存在場所変更に関与すると予想しており、平成21年度での研究において、アポトーシス前後でのPretaporterの修飾の有無から調べ始めたいと考えている。 4. Draperを介した幼虫神経軸索除去における目印分子の同定 目印分子の候補であるタンパク質を既に見いだしており、それをコードする遺伝子の変異体ショウジョウバエ作成を行った。候補タンパク質の発現が消失したハエを見いだし、どの部分の遺伝子領域に変異が導入されたかを調べているところである。平成21年度での研究においては、変異型ハエを同定して、幼虫神経軸索除去への影響を調べる。
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