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2007 年度 実績報告書

新しいタイプのGタンパク質共役受容体の機能解析

研究課題

研究課題/領域番号 19370055
研究機関奈良先端科学技術大学院大学

研究代表者

伊東 広  奈良先端科学技術大学院大学, バイオサイエンス研究科, 教授 (10183005)

研究分担者 水野 憲一  奈良先端科学技術大学院大学, バイオサイエンス研究科, 助教 (90212232)
多胡 憲治  奈良先端科学技術大学院大学, バイオサイエンス研究科, 助教 (20306111)
キーワードシグナル伝達 / 生体分子 / 薬理学 / G蛋白質共役受容体
研究概要

細胞膜を7回貫通する構造を特徴とするGタンパク質共役受容体(G protein-coupled receptor, GPCR)は、ホルモン、神経伝達物質、光、匂いなど数多くの細胞外シグナルを認識して、そのシグナルを細胞内へ伝える重要な役割を担っている。ゲノム解析から、ヒト全遺伝子の数%を占める1000近いメンバーからなるGPCRスーパーファミリーの存在が明らかとなったが、そのうちリガンドが不明のオーファン受容体が200以上残っている。オーファン受容体の中にAdhesion GPCRと呼ばれる一群のファミリーが見出され、その中の一つGPR56が大脳皮質形成に関与することが示唆されている。本研究では、この新しいタイプのGPCRであるGPR56の構造と機能の解明を目指して研究を実施した。まずGPR56の細胞外ドメインをSf9/昆虫細胞発現系を用いて調製したのち、それを抗原として抗体を作成した。一方GPR56を過剰発現させるアデノウイルス、およびGPR56をknock downさせるためのsmall hairpin GPR56 RNA発現アデノウイルスを構築した。抗GPR56抗体を用いてGPR56タンパク質の発現を組織、細胞レベルで調べたところ、神経幹細胞、神経前駆細胞の細胞膜表面に細胞外領域の膜近傍にあるGPSドメインで切断を受けた成熟フォームとして存在していることが明らかとなった。また、GPR56が3量体Gタンパク質G12/13を介して低分子量GTP結合タンパク質Rhoの活性化、そしてアクチンフィラメントの再編成、SRE、NF-kBを介した転写を活性する能力を有することが判明した。実際に、神経前駆細胞を用いた実験から、GPR56がG12/13-Rhoのシグナル経路を介して神経前駆細胞の遊走を負に制御することが明らかとなった。さらに調製した抗GPR56抗体がリガンドの代役となるアゴニスト活性を有する機能抗体であることを見出した。このようにオーファンGPCR受容体に対してアゴニスト様に働く抗体作成が有用であることが初めて明らかにしたことは、今後のGPCRの研究およびGPCRを標的とした創薬に大きな貢献を与えるものと思われる。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2008 2007

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (2件) 図書 (1件) 産業財産権 (1件)

  • [雑誌論文] Orphan G protein-coupled receptor GPR56 regulates neural progenitor cell migration via a Galpha 12/13 and Rho pathway2008

    • 著者名/発表者名
      T. Iguchi
    • 雑誌名

      J. Biol. Chem. (in press)

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Domain-domain interaction of P-Rex1 is essential for the activation and inhibition by G protein betagamma subunits and PKA2008

    • 著者名/発表者名
      D. Urano
    • 雑誌名

      Cell. Signal. (in press)

    • 査読あり
  • [学会発表] GPR56はG12/13とRhoを介して神経幹細胞の遊走を制御する2007

    • 著者名/発表者名
      猪口 徳一
    • 学会等名
      第30回日本分子生物学会年会第80回日本生化学会大会合同大会
    • 発表場所
      横浜
    • 年月日
      2007-12-13
  • [学会発表] GPR56 regulates Neuronal Progenitor Cell Migration through G12/13 and Rho Axis2007

    • 著者名/発表者名
      Tokuichi Iguchi
    • 学会等名
      The American Society for Cell Biology 47th Annual Meeting
    • 発表場所
      Washington, DC
    • 年月日
      2007-12-02
  • [図書] 三量体Gタンパク質2008

    • 著者名/発表者名
      浦野 大輔
    • 出版者
      日本薬理学雑誌(in press)
  • [産業財産権] Gタンパク質共役受容体に対する機能抗体およびその応用2007

    • 発明者名
      伊東広、水野憲一、多胡憲治、猪口徳一、永野孝典
    • 権利者名
      国立大学法人奈良先端科学技術大学院大学
    • 産業財産権番号
      特願2007-284829
    • 出願年月日
      2007-11-01

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公開日: 2010-02-04   更新日: 2016-04-21  

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