研究課題
G蛋白質共役型受容体(GPCR)は多様な刺激(情報伝達物質、ホルモンなど)に対応して多数存在するが、各々は生体内での発現量が少ない。また各種培養細胞系を用いた強制発現についても成功例は限られており、蛋白質レベルでの研究の進展は緩やかなものである。モデルとして光受容体ロドプシンの構造解析研究を発展させることは、その活性化メカニズムを理解する上でも、構造未知の受容体研究を促進する上でも重要である。ロドプシンの7回膜貫通ヘリックス領域は、多くのGPCRと相同性があり、また情報受容機能上重要なリガンド結合部位も含んでいるため、詳細な構造解析ターゲットとして興味深い。本研究では、この領域における内在性水分子・水素結合の動態や活性制御部位を明らかにすることを目的としている。本年度は、網膜由来の試料を用いた既知の高分解能結晶化条件において、前年度までに実験を積み重ねてきたレチナール類縁体やクロリン類似の分子など、活性制御候補因子を共存させた複合体結晶からのデータ収集を行うとともに構造解析を進めた。これと並行して、近紫外領域をカバーした結晶の顕微分光を共同研究により行い、具体的な結合メカニズムと生理的な意義について検証・考察している。一方、ロドプシンにおいて改善された結晶化条件を応用した結果として前年度に得られた、関連光受容体の3次元結晶についてX線回折データ収集を行い、更に条件の精密化が必要であることも明らかになった。
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Biophysical Journal 96(3), Suppl. 1
ページ: 528a
日本結晶学会誌 50(6)
ページ: 359-364