研究概要 |
1)Jagged-Notchシグナルの個体発生期での機能 Notchのリガンドである、JaggedはNotchシグナルを活性化するが、その生体内での時空間を考慮した機能、下流エフェクター因子については、不明の点が多く残されている。我々は、ゼブラフィッシュをモデルとした機能解析を行い、Jagged1aおよび1b両方の機能阻害により、脊椎骨の形成に異常があることを明らかにした。脊椎骨の形成異常に先立ち、脊索の異常が認められた。また、この異常はmib変異体、su(H)阻害にも共通に認められたことから、Mibのユビキチン化を通じたJagged-Notchシグナル活性化がゼブラフィッシュ個体発生期において、脊索の発生、ひいては脊椎骨の形成に必須であることが示唆された。 2)Notchシグナルのリン酸化による機能制御機構の解明 Notchタンパク質のリン酸化を引き起こすリン酸化酵素(キナーゼ)はゼブラフィッシュ個体発生期において、中胚葉、神経系で発現している。それらの組織に注目して、キナーゼの機能阻害を行った結果、受精後9時間前後から神経発生に異常が認められた。神経系で発現するNotchである、Notch1a, Notch3両者の機能阻害とキナーゼの機能阻害を同時に行った実験結果から、キナーゼの神経系での機能がNotchタンパク質へのリン酸化を介したものであることが示唆された。これらの結果から、個体発生期にNotchタンパク質のリン酸化による神経発生制御の仕組みの存在が示唆された。
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