研究概要 |
哺乳類の細胞周期のG1期制御においてCOP9シグナロソームがどのようにしてRb経路とp53経路を制御するかを、CSN5(Jab1)-CSN5BP2-Cdkインヒビター-Rb経路と、CSN3-COP1-p53経路に焦点を当てて解析した。 (1)CSN5-Rb経路の解析 CSN5がCdkインヒビターを制御しRb経路の上流で機能する具体的機構を知るために、酵母のツーハイブリッド法を利用して得たCSN5の新規相互作用因子(CSN5BP)をCSN5トランスジェニックマウスモデルをふまえて解析し、in vivoにおける細胞周期に関わるCSN5の機能を明らかにした。その結果、COP9シグナロソームは第5サブユニット(CSN5/Jab1)を介して、ヒストンメチル化酵素SMYD3(=CSN5BP)がCdkインヒビターp16のプロモーター領域に結合して発現を制御することを見いだした。これにより、CSN5-SMYD3-p16-cyclin D-Cdk4/6-Rb経路が体性幹細胞の調節に関与する知見を得た。 (2)CSN3-p53経路の解析 これまでにCOP9シグナロソームの第3サブユニットであるCSN3がユビキチンリガーゼCOP1を介してp53の上流で働くことを明らかにしていたので、酵母のツーハイブリッド・スクリーニング法を利用し、CSN3,COP1の新規相互作用因子(それぞれCSN3BPとCOP1BP)を単離して解析した。特に、COP1BP-1に着目し特異的抗体を作製して種々の細胞応答における役割をCSN3-COP1経路との関係に留意しながら解析した。
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