研究概要 |
カエル成体の四肢再生時に発現不全となるshh遺伝子の発現が、DNA脱メチル化剤とヒストン修飾剤との組み合わせによって誘導できることを見出し、四肢再生過程における遺伝子発現調節にエピジェネティックな制御が重要な役割を果たしていることを示した。一方で、Hoxa遺伝子群にも発現異常があることを発見し、これが四肢再生時の細胞の選別や分化に異常をもたらして結果として形態異常を引き起こしている可能性を考察した。これらについて、四肢再生に関わる転写調節とエピジェネティック制御について独自の考察をまとφ論文として発表した(Yakushiji et al., 2009)。また、トランスジェニックカエル作成技術を導入し、任意の時期に任意の場所で遺伝子強制発現が行える系を構築して今年度はとくに、筋衛星細胞の分化に着日してPax9遺伝子についての解析を行つた。 これらの知見をさまざまな脊椎動物種で比較するための基盤としての、魚類.両生類・爬虫類・鳥類・哺乳類の各グループにおけるモデル実験系の確立を行い、各グループの動物維持と胚の獲得を行う実験環境も整えた。さらにいくつかの解析を行い、四肢の形態形成の多様性に関する基礎データを収集し論文としてまとめ報告した(Yonei-Tamura et al., 2008)。とくに爬虫類に関しては繁殖コロニーを確立した(Noro et al., 2009)。
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