胚発生において核膜蛋白質Nemp1は眼胞形成に関わるが、その分子機構を探るため、相互作用する蛋白質の探索と、Nemp1の核膜内の局在場所の解析を行った。Nemp1の活性にはC末領域内の進化的に保存された領域B(Bt)が必要であることより、この領域に注目した。その結果、Btのアミノ酸配列にクロマチン蛋白質BAFの結合配列(BBS)を見出し、そのBBSを欠失させるとNemp1の活性が大きく減少した。そこでBtとBAFとの結合を検討した。クグ付きのBtとBAF(Bt-MycとFLAG-BAF)をXenopus胚に共発現させて共免疫沈降により検討したが、両者の結合は検出されなかった。結合が弱いことを予想し、GST-Bt融合蛋白質を大腸菌で合成して精製した後、Xenopus胚に発現させたFLAG-BAFとのGSTプルダウン法で検討した結果、両者の結合が検出された。さらに、FLAG-BAFを発現させると核内に一様に分布したが、Nemp1と共発現させると核膜近傍に共局在した。これらの結果はNemp1の機能の少なくとも一部はBAFとの結合を介することを示唆している。一方、Nemp1の核膜局在の場所と方向性を検討した。当初免疫電顕で行う予定であったが、界面活性剤のdigitoninが選択的に核外膜の抗体透過性を上げることを見出し、この方法を使ってBtを含むC末端領域が核質側に配向しているが示された。この結果は核質側でBAFと結合するという先の結果と一致するものである。酵母2ハイブリッド法による探索ではBtと結合する複数の蛋白質を同定し、その中の1つはGSTプルダウン法で結合を確認した。
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