1、変異型ウロプラキンIIIやSrcを発現する卵母細胞の調製、受精能獲得(卵成熟)と受精/卵活性化の解析:精子プロテーゼによる細胞外ドメインの部分分解に対して非感受性となることが予想される変異型ウロプラキンIII(RRAA-UPIII)の培養細胞発現系を樹立した。カテプシンBをモデルプロテアーゼとして用いた試験管内再構成実験から、予想どおりRRAA-UPIIIが部分分解非感受性であることが示された。卵細胞での発現系の樹立にはさらに1~2年を要するものと思われる。2、精子および卵の細胞膜マイクロドメインにおける配偶子相互作用/膜融合因子の探索:単離した未受精卵細胞膜マイクロドメインを基質とする試験管内Srcリン酸化によって、新規Src基質と思われる分子サイズ170kのタンパク質を同定した。現在、質量分析による構造解析を行っている。3、卵細胞形成、受精能獲得、および初期発生における卵黄タンパク質(pp33)のチロシンリン酸化の生理的意義:pp33の試験管内脱リン酸化および再リン酸化に成功した。このことから、近いうちにツメガエル内在性のpp33リン酸化酵素の同定に向けた実験系が構築できるものと期待される。4、ヒト培養細胞株の受精関連因子群の遺伝子発現系およびウロプラキンIII/Srcチロシンキナーゼの機能発現の場としての実験モデル化:項目1に示した通りの成果が得られた。以上について、平成21年7月のゴードン研究会議でのポスター発表、同年12月の日本分子生物学会年会ワークショップで口頭発表などするとともに、論文発表の準備中である。
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