研究課題
本年度は、過去2年間に実施した下肢温浴実験、寒冷曝露実験、持久的運動能力試験、血管機能検査、自律神経機能検査、生活習慣調査(食物摂取量、日常活動量、被験者周囲の温熱華僑要因)を追加実施し、被験者例数を増やし、温熱環境要因や日常の生活習慣が寒冷時の代謝亢進の身体深部体温閾値および暑熱時の発汗開始の深部体温閾値からみた体温調節機能への影響の検討を行った。血管機能、最大酸素摂取量、日常活動量、自律神経機能、食物摂取量、被験者周囲の温熱環境要因と発汗閾値体温および代謝閾値体温間の明確な関係は得られなかった。しかし、暑熱負荷時および寒冷曝露時の体温調節反応のいくつかの指標との間に以下に示すような相関関係が得られた。血管柔軟性の指標である加速度脈波指数及びd/aと発汗開始時皮膚血流量及び皮膚温の間に正相関が認められ、加速度脈波指数と代謝上昇時の皮膚血流量の間に負の相関が認められた。最大酸素摂取量及び日常活動量と発汗開始時の皮膚温の間に正相関が認められ、日常活動量と寒冷曝露時の前腕部皮膚温の間に負の相関が得られた。また、日常活動量と代謝亢進までの時間の間に正相関が認められた。最大酸素摂取量と加速度脈波指数の間にも有意な相関関係が得られた。食物摂取量と基礎代謝量に正の相関が認められ、冬季の昼間の被験者周囲気温と基礎代謝量との間に負の相関が得られた。以上のことから、発汗閾値および代謝閾値体温からみた体温ニュートラルゾーンへの影響要因は見いだせなかったが、発汗開始までの耐暑反応には最大酸素摂取量、日常活動量、血管機能が大きく関わっており、代謝亢進までの耐寒反応には最大酸素摂取量、日常活動量、血管機能が深く関わっていることが示唆された。また、耐寒反応に関わる要因の一つである基礎代謝量に食物摂取量と日常暴露気温が関連しており、これら2要因は寒冷曝露時の代謝上昇までの時間に関連することが示唆された。
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空気調和・衛生工学会北海道支部第44回学術講演会論文集
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Human Variation : From the Laboratory to the Field Chapter 7 Cold Tolerance and Lifestyle in the Modern Society(CRC Press)
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Proceedings of the 13^<th> International Conference on Environmental Ergonomics (CD-Rom)