研究概要 |
(1)高α-Toc形質のQTL解析 F_2種子に基づいてQTL解析を行い,連鎖群K上にあるSat_167とSat_243の近傍にQTLを検出した(LOD値19.48,寄与率48.8%)。また,F_2個体のQTL解析でもほぼ同じ位置にQTLを検出した(LOD値13.40,寄与率40.2%)。他の連鎖群にはQTLが検出されず,効果の大きいQTLが一つ見つかったことから,高α-Toc含有率は一つの主働遺伝子に支配される形質である可能性が高いと考えられた。 (2)高ルテイン形質の遺伝解析 F_2種子とF_2個体集団のルテイン含量の世代相関は強い正の相関を示した。F_2個体のルテイン含量は,開花期および収穫日と正の相関を示し,登熟期が遅くなるとルテイン含量が高くなる傾向を示した。また,「日高4号」並にルテイン含量が高いRILs数系統を同定した。これらの系統はルテインの他にキサントフィル類,及びクロロフィルb, a, βカロテンの溶出ピークを与えた。部位別に分析した結果,クロロフィルとβカロテンの殆どは種皮に,ルテインなどのキサントフィル類は子葉に由来することが明らかとなった。この結果は,高ルテインツルマメを分析した前報告と同様であった。 (3)高α-Toc,高ルテイン系統の作出とその特徴 高α-Tocの「Keszthelyi A. S.」×高ルテインツルマメ系統「B09092」の交雑F_2種子を半粒法で分析し,α-Toc及びルテイン含量が同時に高いF_3種子を生産するF_2個体を複数得た。高ルテイン形質とツルマメ特有の小粒形質との間には有意な相関が認められず,またこれらのF_3種子の発芽においても問題が認められないことから,種子中にα-Toc含量とルテイン含量を同時に高めたダイズの作出は可能であると考えられた。
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