研究課題/領域番号 |
19380001
|
研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
喜多村 啓介 北海道大学, 大学院・農学研究院, 教授 (50111240)
|
研究分担者 |
阿部 純 北海道大学, 大学院・農学研究院, 准教授 (00192998)
山田 哲也 北海道大学, 大学院・農学研究院, 助教 (70374618)
|
キーワード | ダイズ / α-トコフェロール / ルテイン / リノレン酸 / 遺伝分析 |
研究概要 |
1)α-Toc形質の選抜マーカーの有効性検証と高α-Toc形質に関与する遺伝子の検出 SSRマーカー遺伝子型とα-Toc含有率との関連性から、候補遺伝子はKSC138-10およびKSC138-9の間にあることが示唆された。この領域は約75kbpのゲノム領域に相当し、Phytozome情報より10個の遺伝子が存在すると推定された。そのうち、シロイヌナズナのVTE4(γ-TMT遺伝子)に相同性が高いGlyma09g35680.1が存在した。Glyma09g35680.1の塩基配列とα-Toc含有率との関連性を調査した。この塩基置換を認識できる増幅切断多型配列(CAPS)マーカーを作成し、「いちひめ」x「KAS」F_6個体における遺伝子型を調べたところ、遺伝子型とα-Toc含有率が共分離した。 2)ルテイン形質の遺伝分析およびルテインの集積機構 QTL解析の結果、「TK780」×「BO1167」のF_9およびF_<10>種子集団において連鎖群D1aとD2のそれぞれAFLPマーカーATG/CAT310とSSRマーカーSct_192の近傍にルテイン含量に関与するQTLを同定した。F_9種子集団では連鎖群C2にもルテイン含量のQTLを検出した。連鎖群D1aとD2のQTLsには高ルテインツルマメ系統に共通してルテイン含量を制御する遺伝子が座乗している可能性が示唆された。ルテイン生合成関連遺伝子の比較発現解析を行ったが、これらの系統間で遺伝子発現程度に顕著な差異は認められなかった。ルテインの代謝分解に伴う登熟後期におけるルテイン含量の変動について精査した。特に登熟後期の未熟種子におけるルテイン含量の減少程度に低ルテインと高ルテインのRILの間で顕著な差異が認められた。 3)ツルマメの高リノレン酸形質の利用 脂質含量とリノレン酸含有率が同一の因子によって制御される可能性が示唆された。一方、連鎖群HのSSRマーカーSat_127および連鎖群OのSSRマーカーSat_274近傍にリノレン酸含有率に関するQTLが検出された。これらのQTLは脂質含量に関するQTLと連鎖していないことから、脂質含量の減少を伴わずにリノレン酸含有率を増加させることが可能であることが示唆された。すなわち、連鎖群HにおけるSSRマーカーSat_127と連鎖群OにおけるSSRマーカーSat_274に同定されたQTLに着目してマーカー利用選抜を進めることで、高リノレン酸含有ダイズの作出が可能と考えられる。
|