研究課題/領域番号 |
19380008
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研究機関 | 独立行政法人農業技術研究機構 |
研究代表者 |
松元 哲 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構, 野菜茶業研究所野菜ゲノム研究チーム, 上席研究員 (00355629)
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研究分担者 |
畠山 勝徳 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構, 野菜茶業研究所野菜ゲノム研究チーム, 主任研究員 (60355625)
平井 正志 京都府立大学, 大学院・生命環境科学研究科, 教授 (50343405)
久保 中央 京都府立大学, 大学院・生命環境科学研究科, 准教授 (60347440)
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キーワード | 根こぶ病 / 抵抗性遺伝子 / ハクサイ / DNAマーカー / 遺伝子単離 |
研究概要 |
本研究はアブラナ科野菜の重要土壌病害の一つである根こぶ病について、複数の抵抗性遺伝子(Crr1、Crr2、Crr3)の単離と発現解析を行うことを目的とする。昨年までに、Crr1が2つのマーカーで挟まれた約8kb間に座乗することを明らかにした。本年度は8kbの全塩基配列を抵抗性と罹病性個体とで比較することにより当該領域の塩基配列を明らかにした。また候補遺伝子の発現解析を行うとともに、Crr2の単離を進め、以下のことを明らかにした。 1.Crr1抵抗性遺伝子の単離 Crr1の候補遺伝子は、4箇所のオープンリーディングフレーム(ORF)を含む約4kbの長さの転写産物であり、植物の防御反応に関する遺伝子に特異的に見られるTIR-NBS-LRR構造を有していた。 2.Crr1の発現解析 抵抗性系統から抽出した総RNAを用いたノーザン解析の結果、4kb付近に強いシグナルが得られた。またRT-PC決により抵抗性系統は罹病性系統に比較して強いシグナルが認められ、また根こぶ病接種により発現が増加した。 3.Crr2座乗位置の絞り込み Crr2が座乗するBACクローンの中から複数のマーカーを作出し、F2集団の中からこれらのマーカー間で組換えを起こした2つの個体についてF3を作成しWakayama-01菌株を用いて抵抗性の有無を調べCrr2の座乗位置を18kb間に絞り込んだ。また当該領域について、さらにこの中にはCrr1と同様にTIR-NBS-LRR構造をもつ遺伝子と高い相同性をもつ配列が見出された。 4.Crr3の単離と発現解析 既に決定した候補領域のゲノム配列から、新規に2つの特異的マーカー(Br157f3-155とBr182)を設計して、遺伝型を判定し直した。その結果、Crr3の候補領域は前回の12.6kbから、今回、さらに5.8kbに狭まり、前回見出された抵抗性遺伝子様の配列がCrr3の候補であると再確認された。Crr3候補遺伝子(抵抗性遺伝子様配列)のORFの5'-および3'-隣接配列からプライマーを設計してRT-PCRを行った。その結果、候補遺伝子に加えて、よく似た別の抵抗性遺伝子様配列に由来するcDNAも増幅しており、目的のcDNA以外の配列が大多数を占め、Crr3候補遺伝子に対応するcDNAはいずれもFrame-shiftを生じる挿入欠失変異が起こしていた。
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