研究課題/領域番号 |
19380013
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
実岡 寛文 広島大学, 大学院・生物圏科学研究科, 准教授 (70162518)
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研究分担者 |
猪谷 富雄 県立広島大学, 生命環境学部, 教授 (60087898)
小櫃 剛人 広島大学, 大学院・生物圏科学研究科, 准教授 (30194632)
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キーワード | フィチン酸 / ダイズ / リン酸 / 無機リン酸 / 栄養 / 品質 |
研究概要 |
ダイズは、世界中の多くの国々で、貴重なタンパク源として広く栽培されている。ダイズにはリン(P)、カルシウム、マグネシウムをはじめ、鉄、亜鉛などの微量金属元素が多く含まれている。このうち、Pの80%近くが有機態P化合物のフィチン酸(ミオイノシトール6リン酸)であり、フィチン酸に陽イオンがキレート結合したものがフィチンである。フィチン酸やフィチンは、人間を始めとした単胃動物では分解し消化できないために、Pやミネラル成分が吸収・利用できない。そのため、これらの有用成分が環境中へ大量に排出されている一方で、発展途上国などではフィチンが原因と見られるミネラル欠乏症が発生している。これらの問題を解決するためには、フィチンが低く、動物が吸収利用されやすいPやミネラル成分の多いダイズ品種を開発し利用することも一つの方法である。日本で栽培されている普通品種の全P濃度に対するフィチン態Pの割合は70%以上であるが、その割合が24%と著しく低い突然変異体低フィチンダイズを供試して、普通栽培5品種とミネラル、タンパク質およびイソフラボン含量などを比較して、これらの成分含量に低フィチンがどのような影響を及ぼすかを明らかにした。その結果、普通品種の全P濃度は5.5から8.8mg/gDWであったが、低フィチンダイズでは8.4mg/gであり全P濃度が高かった。一方、低フィチンダイズの無機P濃度は、普通品種に比較し5から10倍高かったが、Ca、 Mg、 Fe、 Zn濃度および全タンパク質濃度に差が見られなかった。一方、各品種の総イソフラボン含量は、低フィチンダイズで、普通品種に比べてやや高かったが、イソフラボン組成は全品種でほぼ同じであり、この結果から、フィチン酸を低下させても、ダイズの主要な有用成分含量に影響を与えないことが明らかとなった。さらに、突然変異体低フィチンダイズと普通品種を交配させ、その交配系統からRFLP解析によって、よりフィチン酸の低い系統の選抜を行なった。
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