ダイズ生育初期における湿害発生機構を、未知の湿害発生機構の存在も視野に入れて、タンパク質レベルから包括的に解析し、タンパク質間相互作用解析により湿害発生ネットワークを明らかにする。本年度は、細胞膜に対する湿害の影響を解析すると同時に、すでに検出されたタンパク質・遺伝子に関しては器官特異性や細胞内局在等を解析し機能を明らかにした。 1.二層分配法を用いることにより、ダイズ播種後3日目の根と胚軸から81%の精製効率で細胞膜タンパク質を得ることができた。二次元電気泳動法によるプロテオミクス解析とnanoLC MS/MSよるプロテオミクス解析を用いて、湿害応答性細胞膜タンパク質を検出した。構造解析の結果、14-3-3-protein、band 7 family protein、plasma membrane intrinstic polypeptide、ATPase、heat shock conjugate protein等が、冠水処理により顕著に細胞膜で増加していた。 2.一方、前年度検出した細胞質型ascolbate peroxydaseについては、抗体を調整しウエスタンブロットを行い、組織特異性なく存在し冠水ストレスで発現が顕著に抑制されることを証明した。さらにリアルタイムPCRにより、RNAレベルでもタンパク質レベルと同様な傾向を示していることを明らかにした。 今後、さらに上流の細胞壁に対する湿害の影響も含めて、ダイズ出芽期の湿害応答時のネットワーク機構を解明する。
|