研究課題/領域番号 |
19380021
|
研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
櫻井 直樹 広島大学, 大学院・生物圏科学研究科, 教授 (90136010)
|
研究分担者 |
小久保 亮 北海道立林業試験場, 緑化樹センター, 研究主任 (10414252)
|
キーワード | 樹木 / 振動 / 共振 / フーリエ解析 / 水分含量 / 内部欠陥 / 非破壞検査 / ヤング率 |
研究概要 |
樹木の内部情報を非破壊で振動法により簡単に測定する装置と技術を開発した。樹木樹幹の一点を500~10000Hzまで約10秒間かけて振動スピーカーにより振動させ、点対称の位置でその振動を圧電素子で受信しフーリエ解析した。また、位相の同時測定を行うと、円周モードの共振周波数の測定が確実に行えることがわかった。円周モードに由来する第2、第3共振周波数を取得できる小型の簡易測定装置を開発した。第2共振では円周上に2波長、第3共振では3波長のっていると考えられることから、樹幹内を伝播する振動の伝達速度(共鳴周波数×1/2円周長、共鳴周波数×1/3円周長)が求められた。伝達速度は、ヤング率の比例し、密度に逆比例することが知られているので、水分含量の変動が伝達速度に反映されると期待された。実際、伝達速度は、夏季では冬季よりも遅く、夏季のほうが樹体内の水分含量が高いというこれまでの知見に一致した。また、降雨前後で比較すると、降雨後には伝達速度が低下し、樹木の水分含量が上昇すると、速度が減少することが実証された。次に、測定点を30度ごとに行い、円周上で12点の第2、第3共振周波数を測定した。第2と第3共振周波数の比は、完全弾性体の場合ほぼ1.5になることがアクリル棒のモデル実験で明らかにされた。そこで実際の樹木を調べた結果、内部に欠陥のない樹木の場合は、この比率はどの測定点でも1.5であったが、内部に空洞や腐朽、及び節が存在する場合は、この比率が1.5からはずれるととが分かった。以上の結果から、振動測定により、樹木の内部欠陥を非破壊検査できる装置と理論が確立した。
|