1.ミクロ挿し穂の発根に及ぼす根発達培地の影響 前年度、通常の発根処理を行っても発根しなかったニホンナシ‘長十郎'ミクロ挿し穂の発根に成功し、試験管内増殖できたすべてのニホンナシ品種のミクロ挿し穂の発根実験を行うことができた。その結果、3種類の根発達培地(ゲルライトのみ、ゲルライトとバーミキュライトの混合、バーミキュライトのみ)において、発根能力の低いミクロ挿し穂(5品種)は混合培地での発根率が高くなるが、発根能力の高いミクロ挿し穂(1品種)は培地間の発根率の差がなくなることがわかった。また、鉢上げ・順化成功率に差異は認められなかったので、発根率が低い場合はクリやクルミのミクロ挿し穂と同様、混合培地が有効であることが確認された。一方、カキ2品種のミクロ挿し穂も同様の根発達培地で発根させたが、ニホンナシと同様、発根能力が低いミクロ挿し穂において混合培地の有効性が確認された。なお屋外での挿し木に関する実験では、クリの挿し穂の生存率を高めるミスト装置を作成したが、システムの不具合が頻発し、一定した結果を得ることができなかった。 2.シロイヌナズナ側根形成に関する変異体のスクリーニング EMS処理した種子を用い、側根多形成系統や側根少形成系統のスクリーニングを行った。その結果、側根多形成系統についてM5植物まで得ることができ、形質を固定することができた。一方、側根少形成系統については、成長の劣る系統が多く、種子の採取に困難をきたしたが、そのM3植物まで得ることができた。
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