研究概要 |
抵抗性遺伝子RCY1(CC-NBS-LRRドメインをコードする)を持つシロイヌナズナC24は,キュウリモザイクウイルス黄斑系統[CMV(Y)]に対して抵抗性を誘導する.RCY1タンパク質とCMV(Y)抵抗性について解析を行ない,以下の結果を得た.RCY1タンパク質側からのアプローチ:(1)CMV(Y)罹病性C24変異体8ラインのRCY1の塩基配列解析の結果,4ラインはLRRドメイン,1ラインはCCドメイン,3ラインはNBSドメインに変異が生じており,各ドメインがRCY1の機能に必須であることが明らかになった.(2)RCY1を形質転換した罹病性シロイヌナズナは,すべてCMV(Y)抵抗性を示したが,その程度は形質転換ラインで異なっていた.また,(3)細胞内におけるRCY1タンパク質の動態を把握するため,HAタグを付加したRCY1をコードするベクター(HA-RCY1)を構築し,HA-RCY1の一過的発現系およびHA-RCY1を安定的に発現する形質転換体(Col::pRCY1-HA)を作出した.両実験系とも,HA-RCY1タンパク質が高感度に検出されたことから,RCY1分子複合体の機能解明に着手する準備が整った.次に,(4)Co1::pRCY1-HAラインを用いて,CMV(Y)抵抗性とRCY1タンパク質の蓄積量の関係を解析したところ,抵抗性の強度とHA-RCY1の蓄積量に正の相関が認められた.以上より,CMV(Y)抵抗性は,健全状態のRCY1量により制御されていると考えられた.RCY1タンパク質と相互作用する宿主タンパク質側からのアプローチ:ALSVベクターを用いて,RCY1のノックダウンを行った.RCY1のサイレンシングによるノックダウンとともに抵抗性の消失が確認できた.今後,同ベクターはRCY1タンパク質複合体解析のツールとして利用できることが明らかになった.
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