研究課題
本研究では、ブロモウイルスのSBLVがシロイヌナズナのアクセッションS96に誘導する全身壊疽病徴の発現制御機構を解明することを目的としている。これまでに、このような病徴発現に関与するSSB1遺伝子座のファインマッピングを進め、約100kbまで絞り込めた。本年度は、A) SBLV感染によっても全身壊疽しない変異体S96が得られたため、この領域内の有力候補遺伝子である2個のR gene様遺伝子の塩基配列を決定した結果、一方のR遺伝子(R1)で変異の見つかった変異体が3クローン、もう一方のR遺伝子(R2)では1クローン得られた。S96のゲノムDNA断片を単離し、これら変異体植物に導入した結果、R1で病徴発現に関して相補された。また、これらのゲノムDNAをCo1-0に導入したが、複数ラインの形質転換植物に接種しても病徴は発現しなかった。一方、それらを交配してS96由来の2個のR gene様遺伝子を持つCo1-0形質転換体を作出した結果、SBLV感染による全身壊疽がみられた。以上の結果、S96由来のR1とR2が共に存在することによりSBLV感染によって全身壊疽病徴が発現することが強く示唆されたため、これらをSSB1A, SSB1Bとした。B)これら遺伝子のゲノムDNA, cDNAあるいはRACE産物の塩基配列を決定し、遺伝子の構造を決定した。C)昨年度に作製した各種シグナル伝達系の変異体とS96との交配個体を用いてSBLVの接種実験を行い、リアルタイムPCRを用いてサリチル酸経路に関わる各遺伝子がup-regulateされていることを明らかにした。D)S96, Co1-0由来のSSB1A, SSB1B遺伝子をSBLV由来の各遺伝子と共に様々な組み合わせでタバコ葉にアグロ注入した結果、S96由来のSSB1A, SSB1B遺伝子がともに存在する場合にのみ細胞死が観察された。
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