研究課題
植物が病原菌から身を守るためには、迅速なかつ適切な病原体の感染認識および抵抗性誘導が必須である。植物は、それぞれの病原菌を構成する因子を、病原菌に特有な分子パターン(PAMPs)として認識し、効果的な抵抗性を誘導する。近年、PAMPsを認識する受容体が植物から単離され、それらは受容体型キナーゼ(Receptor like kinase; RLK)をコードしていることが知られている。さらに近年、受容体型キナーゼの相互作用因子として、低分子量Gタンパク質Rac/Ropの活性化因子であるPRONE型GEFが同定されている。本研究課題では、病原菌認識および抵抗性誘導において、RLK-PRONE GEF-Rac/Ropの信号伝達がどのように機能しているかを解明することを目的としている。そこで、シロイヌナズナのPRONE型GEFのノックアウト変異体を単離し、PAMPs誘導抵抗性への影響を調べた。その結果、PAMPs誘導抵抗性の若干の減少は見られるものの、大きな差は見られなかった。これはPRONE型GEFが14個の遺伝子によるファミリーを形成し、各遺伝子が相補的に機能しているためであると考えられる。そこで、ドミナントネガティブ変異として働くと推定される変異型PRONE遺伝子を発現する形質転換植物を作成し、PRONE型GEFを介したPAMPs誘導抵抗性を解析することを計画している。さらに今後は、RLKによるPRONE型GEFのリン酸化についても解析を進めていく。一方、PRONE型GEFを過剰発現したイネでは防御遺伝子の発現が誘導されることがわかった。このことは、PRONE型GEFが耐病性誘導の情報伝達系で働いていることを強く示唆している。
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Plant J
Advances in Genetics, Genomics and Control of Rice Blast Disease
Plant Cell 19
ページ: 2940-2951
ページ: 4035-4045
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