研究課題/領域番号 |
19380032
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研究機関 | 茨城大学 |
研究代表者 |
後藤 哲雄 茨城大学, 農学部, 教授 (60178449)
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研究分担者 |
野田 博明 独立行政法人農業生物資源研究所, 昆虫・微生物相互作用研究ユニット, ユニット長 (40343991)
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キーワード | 細胞内共生細菌 / Cardinium / Wolbachia / 細胞質不和合性 / マイクロアレイ / 抗菌タンパク質 / 免疫応答 |
研究概要 |
本研究では、節足動物の性を操る体内共生微生物CardiniumとWolbachiaについて、以下の課題を検討した。 1.Cardiniumによる生殖操作の解明と他の共生微生物との二重感染による相互作用の解明:総計12属47種218個体群を検討した結果、ハダニ類5種18個体群がCardiniumとWolbachiaに二重感染していた。二重感染個体群の生殖不和合性は、いずれもWolbachiaによる作用であり、Cardiniumはこの作用を増強したり、干渉したりしないことが分かった。また、CardiniumとSpiroplasmaの二重感染は、1属1種1個体群で見つかったが、生殖への作用はなかった。WolbachiaとSpiroplasmaの二重感染は、1属2種4個体群で検出されたが、生殖への影響はなかった。Rickettsiaに感染している個体群はいなかった。 2.Cardiniumによる遺伝的雄の雌性化:チャノヒメハダニの両性生殖系統は、雄を産出したが、Cardiniumには感染していなかった。また、交配を行っても産雌性には影響せず、雌性化であることを再確認した。 3.EST解析:昆虫類に比べ、系統的にハダニに近いカブトガニの免疫システムに関わる遺伝子をハダニESTデータより探索した。免疫機構の上流にあり、細菌により誘導されるセリンプロテアーゼであるFactor Cに相同性のある遺伝子がハダニESTより見つかった。その遺伝子のアミノ酸配列にはトリプシン様のセリンプロテアーゼに見られるドメイン構造が存在した。また昆虫から哺乳類まで共通した自然免疫のレセプターであるTollと相同性のある遺伝子も見つかり、この遺伝子のアミノ酸配列中にはLeuclne-rich repeat domainが存在した。 4.dsx-like geneの解析:dsxに配列の似た遺伝子は、昆虫からも見つかり、共通の重要な働きをしていることが推察される。雌雄ともに発現しており、スプライシングのパターンも同じであることから、性決定に係わるとは考えにくかった。
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