研究概要 |
平成19年度は、エクダイソンパルスで誘導されるクチクラ蛋白質遺伝子BMWCP2とBMWCP5の上流域をクローニングし、エクダイソンパルスに応答する配列を明らかにした。また、遺伝子銃によるカイコの翅原基、翅組織への遺伝子の導入法を、器官の時期、培養条件について検討した。平成20年度は、エクダイソンに直接誘導されるBMWCP10遺伝子のプロモーター解析を行い、エクダイソンに応答する初期遺伝子であるBRC-Z2が実際にクチクラ蛋白質遺伝子の上流に結合して発現誘導に関わることを明らかにできた.平成21年度は、BMWCP10遺伝子のプロモーター部に存在するエクダイソンレスポンスエレメント(EcRE)を見いだし、ゲルシフトアッセイ、レポーターアッセイにより、クチクラタンパク質遺伝子の上流に、EcREが存在し、EcRが結合することを初めて見いだした.また、カイコのEcREもこれにより始めて配列を明らかにした.発現時期及びエクダイソン応答性が異なるBMWCP10とBMWCP2,5の発現調節に関わる上流の配列や、そこに結合するエクダイソンに誘導される転写因子を明らかにすることにより、カイコのゲノム情報と実際の遺伝子の発現様式を結びつけることが出来た.これらの結果は、エクダイソンのシグナルカスケードを明らかにする上で貢献を果たした.また、エクダイソン応答性の転写因子が実際に発現する遺伝子の上流部に結合し、プロモーター活性を高めることを明らかにした事で、このような研究に実験方法として新たな活路を切り開くことが出来た.
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