1.エクジソン生合成の前半であるコレステロールからケトジオールまでのエクジステロイド類についてLC-MSを用いた微量分析・定量系の確立を行った。 2.生合成酵素と考えられるNeverlandがコレステロールから7-デヒドロコレステロールへの変換を担うことをNeverland遺伝子を導入したショウジョウバエS2培養細胞による変換実験および上記LC-MS分析系により明らかにした。 3.エクジソン生合成酵素である4種類のシトクロームP450(spook、phantom、disembodied、shadow)について、前胸腺刺激ホルモン(PTTH)、RFアミド関連ペプチドによる転写調節を調べたところ、PTTHによってdisembodiedの転写が強く、spookおよびphantomの発現が弱く促進されることが明らかになった。一方、エクジソン分泌を抑制するRFアミド関連ペプチドを添加することでhantomの発現が強く、spookとdisembodiedが弱く抑制された。また、PTTHによって促進されたphantom遺伝子の発現促進は、RFアミド関連ペプチドによってほぼ完全に押さえられた。このことから神経ペプチドによるエクジソン生合成調節は、様々なステップの生合成酵素遺伝子が複数の神経ペプチドによって発現調節されることによることが示された。 4.新たにFXPRLアミドペプチドが5齢後期の前胸腺に対してエクジソン分泌促進活性があることを見いだした。さらに、この促進活性が前胸腺に発現している休眠ホルモン受容体(Gタンパク質共役受容体)を介していることを明らかにした。
|