研究課題
バックは、生息密度に応じて形態を変化させるが、孤独相(単独飼育)条件で得られた幼虫を群生相(集団条件)条件で飼育すると成虫の後腿節長(F)と頭幅(C)との割合(F/C値)が減少する。しかし、その変化は小さく、典型的な群生相の値を示すには、その後数世代連続して混み合い条件を経験する必要があると言われている。この現象は総蓄積と呼ばれるが、それを支持する実験的証拠は十分説得力のあるとは言えない。そこで、トノサマバッタにそのような総蓄積が見られるのかどうかを調べた。その結果、F/C値は、群生相条件でも孤独相条件でも、2世代連続して変化するがその後、有意な変化は見られないことが分かった。また、サバクトビバッタでも似たような結果が得られた。サバクトビバックでは、総蓄積の機構として、親世代の混み合いが子(卵と孵化幼虫)の体の大きさを決定し、子の体の大きさが成虫時のF/C値と相関があることが分かった。トノサマバッタでは、孵化幼虫の体の違いだけでは説明ができない部分もあり、更に検討が必要である。つまり、同じ範囲の体重にある群生相と孤独相孵化幼虫を、同じ条件で飼育した場合、群生相幼虫の方が孤独相幼虫よりF/C値が低くかった。アクトグラフを用いた活動性の比較では、孵化幼虫を用いて母性効果の検証を行った。信頼できる測定条件を確保するために、孵化幼虫の日齢、餌の有無、湿度、照度、バックグランドの色などの影響を調べ、検査法を確立した。活動性には母性効果が孵化幼虫の活動性に検出された。測定時間とともに活動と二つの相の間の活動レベルの差は変化することが分かった。今回は、孵化時間の影響を無くすために照明は全明条件で行ったが、明暗周期(光周期)下での活動性の日周リズムやサカーディアンリズムの関与についても明らかにする予定である。尚、アクトグラフによる活動性の結果をまとめた論文は、英国雑誌Physiological Entomologyに先日受理された。
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