研究課題
1.機能遺伝子解析による水田圃場の脱窒菌群集構造の解明東京大学附属多摩農場の連作水田土壌から時期毎に土壌を採取してDNAを抽出し、脱窒における亜硝酸還元酵素遺伝子nirS, nirKを標的とした定量PCRとクローンライブラリー解析を行った。その結果、水田中では時期に依らずnirSよりもnirKの方が多く存在していることが明らかになった。また、Burkholderiales, Rhodocyclalesに分類される微生物由来のnirを持つ微生物、及び未知の微生物が脱窒に機能している可能性が示唆された。2.日本各地の土壌からの脱窒細菌の分離Functional Single-Cell分離法により山形、新潟、熊本の水田と田畑輪換圃場の土壌から脱窒細菌を分離し、16S rDNA部分塩基配列に基づく系統と脱窒活性、N_2-N_2O生成特性を調べた。計3門17属に分類される212株の脱窒細菌を得た。Bradyrhizobium属とChromobacterium属の株は全土壌から得られた。Dyella属とNiastella属では生成ガスの80%以上をN_2が占めたが、Cupriavidas属、Vogesella属、Aquabacterium属およびBosea属ではその80%以上がN_2Oであった。菌株によってN_2O-N_2生成量比が異なる属も存在した。3.脱窒活性を高めた水田土壌の16S rRNA解析新潟県農業総合研究所の連作水田から採取した土壌を、脱窒の基質を加えて脱窒を活性化させるモデル実験系に供した。基質添加後数時間おきに土壌RNAを抽出し、逆転写した。16S rRNAを標的とした定量PCRの結果、基質添加後16時間の土壌で最も発現が高くなり、これはこのモデル実験系で脱窒活性が高まる時期と一致していた。また、基質添加後16時間のRNAからのクローンライブラリー解析の結果、Betaproteobacteriaに属する微生物が大半を占めていた。
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