研究概要 |
1.水田土壌における脱窒機能遺伝子の発現解析 脱窒を活性化させる室内モデル実験系を用い、土壌に脱窒の基質であるコハク酸・硝酸を加え、嫌気条件下で0,6,12,16,20,24時間培養した土壌からそれぞれDNAとRNAを抽出し、RNAについては逆転写を行いcDNAとした。抽出したDNAを元に16S rRNAと脱窒機能遺伝子nirS,nirK,nosZを標的とした定量的PCRを行った結果、培養の時間が経過するに従って各遺伝子のコピー数は段階的に増加した。一方、cDNAを元にした同様の定量的PCRの結果、16S rRNA,nirK,nosZの発現量は培養20時間目のサンプルで最大となり、これは脱窒活性が活発となる培養時間と一致していた。また、16S rRNAとnirSを標的として、培養0時間と20時間のDNA、RNAそれぞれについてクローンライブラリー解析を行った。その結果、16S rRNAとnirSの両方でBetaproteobacteriaに近縁な配列が多く得られた。 2.マイクロアレイプローブと定量PCRプライマーの設計 水田土壌の脱窒特性(脱窒菌のポピュレーションや機能発現)をマイクロアレイ法や定量PCR法によって評価するための予備検討を行った。これまでに取得した水田土壌で機能する脱窒細菌の16S rDNA,nirS,nirK配列に基づき、九州大学の久原教授の協力を得てマイクロアレイプローブの設計を行った。ほとんどの配列について23塩基長の特異的プローブを設計することができた。さらに、このプローブ配列を利用して、水田土壌の主要な脱窒菌である3つのグループ(Rhodocyclalesに近縁な新規のグループ、Herbaspirillumに近縁な鍵脱窒菌、およびAzospirillum属のグループ)に特異的定量PCRプライマーが設計できた。実際のPCRによって、ターゲットのグループを増幅できることも確認された。
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