研究概要 |
黒ボク土へのDNA吸着を理解するために,黒ボク土壊の主要構成粘土鉱物であるアロフェン(天然と合成アロフェン)へのDNA吸着を,反応溶液のDNA濃度,イオン強度,pH,リン酸イオンとの競合等の観点から調べた,2つのアロフェンともにDNA吸着量と平衡濃度との関係は,Langmuir式の線形式に有意に当てはまった.pH3〜9の範囲で溶液組成を変化させ,アロフェンにDNAを吸着させたところ,pHが高くなるほど吸着されたDNA量が減少した、DNA吸着は溶液pHによって大きく影響されることがわかった.バックグラウンド塩をNaClであった本研究のイオン濃度範囲(0.1-0.5molL^<-1>)では,pH(6.8-7.0)一定の条件で.合成アロフェンと天然アロフェンの両方ともDNA吸着割合はあまり変動せず,一定であり,これらのアロフェン上でのDNA吸着はイオン強度に影響されないと判断できた.アロフェンへのDNA吸着は,モンモリロナイト,シリカより高く,カオリン,ゲータイト,ギブサイトの場合と同じくらい,またはより低いということがわかった.リン酸イオンをアロフェンに添加することにより,吸着DNA量が減少した.リン酸イオンとDNAとの間で吸着反応における競合が生じることがわかった.アロフェンとDNA吸着機構で,アロフェンへのDNA吸着にはDNAのリン酸基の関与する可能性を示唆した.本研究の結果から,黒ボク土の構成成分の中で,主要粘土鉱物であるアロフェンがDNA吸着に対して大きな役割示している媒体の1つであることが示唆された.
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