以前に行った予備的な解析からオートファジーに関与する可能性が有ることを見出していたプロテインキナーゼの一種について、完全長cDNAの塩基配列を確定した。その結果、このタバコBY-2細胞由来のクローンは、他の生物種のホモログより、C-末端部分が短いタンパク質をコードしていることを見出した。また、この蛋白質のN-末端側とC-末端側に対する特異抗体を用いて、糖飢餓に際してそのサイズに変化があるか検討した。その結果、この蛋白質は糖飢餓の際に発現量とサイズが共に変化することを見出した。また、本キナーゼの抑制コンストラクトを作製し、それを導入した細胞株を作製した。併せて、タバコ培養細胞BY-2株のEST解析で見出されているAtg12のタバコホモログに対する抗体を作製した。タバコ植物体の生長と成熟に伴って、各器官の細胞で、オートファジーによる分解が、どのように変化するかを検討するために、タバコ植物体の通常の生育条件下と、成熟を誘導する条件である窒素欠乏条件でのマイクロアレイ解析を進めた。その結果、アレイに搭載している遺伝子のうち、オートファジー関連遺伝子の一つが、窒素欠乏条件で誘導されることを見出した。また、ゴルジ装置等の分泌系オルガネラを単量体RFPで蛍光標識した細胞について、細胞の増殖過程での蛍光の変化について、検討を進めた。 これらの解析と併せて、ミトコンドリアの機能阻害とオートファジーの関連についての知見をまとめ(平成20年度初頭に投稿予定)ると共に、高等生物におけるオートファジーのモニタリング系について、他の研究者と共同でそのクライテリアに関するガイドラインの策定を行った。
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