研究概要 |
枯草菌の細胞表層に局在するYqgAの機能を調べるため,まずYqgAタンパク質と相互作用するタンパク質を見つける目的で,YqgAにHis-tagを賦与した遺伝子を持つプラスミドpDG148-yqgA-Hisを構築した.次に主要な2種類の細胞表層プロテアーゼを欠損し,yqgAをcat遺伝子で破壊されたWEC ΔyqgA::cat株を構築した.この株をpDG148-yqgA-Hisで形質転換し,IPTGの添加によりYqgA-Hisの高生産を行った.このタンパク質を含む細胞表層抽出液をニッケルカラムに通し,カラムに結合させた後,洗浄し,次にイミダゾールの濃度勾配でeluteさせたところ,いくつかのYqgA以外のタンパク質が認められ,他のタンパク質との相互作用の可能性が示唆された. 一方細胞表層局在IseA(YoeB)タンパク質に関しては、IseAの局在がLysMドメインを持つ細胞の分離をつかさどる細胞壁溶解酵素(LytF,LytE,CwlS)と同じサブセルラーな局在を示していた.そこで、LytF,LytE,CwlSの触媒活性ドメインの領域にHis-tagの配列を賦与したプラスミドを構築し,大腸菌を形質転換した.次にIPTGにより酵素の高発現を行い,続いてそれら大腸菌の細胞破砕液よりニッケルカラムにより精製し,単一酵素とした.一方IseAを含むプラスミドも構築し,大腸菌で発現させることにより同様にタンパク質を精製した.精製したIseAと精製した細胞壁溶解酵素触媒活性を有するD,L-endopeptidaseを混合し,細胞壁溶解活性を調べたところ,モル比でIseAが2倍以上存在すると,活性は完全に阻害された.次にin vivoでの役割を検討するため,IseAを枯草菌において高発現させたところ,細胞の繊維状化がみられ,IseAの細胞形態への影響が認められた.
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