研究課題/領域番号 |
19380050
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研究機関 | 山口大学 |
研究代表者 |
足立 収生 山口大学, 名誉教授 (20027189)
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研究分担者 |
赤壁 善彦 山口大学, 農学部, 准教授 (20274186)
品川 恵美子 宇部工業高等専門学校, 物質工学科, 教授 (20116726)
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キーワード | キナ酸の製造 / 酸化発酵 / シキミ酸の製造 / コーヒー粕麹 |
研究概要 |
デヒドロシキミ酸生成を触媒する膜結合型デヒドロキナ酸デヒドラターゼ(mDQD)を細胞膜から初めて可溶化・精製した。これによって、mDQDが酢酸菌細胞膜の外表層に局在し、ペリプラズム側で機能して、円滑にデヒドロシキミ酸生成が進行することを酵素化学的に証明した。酢酸菌細胞でも、その網胞膜標品を使用してもデヒドロシキミ酸が高効率に生成された。 自然界からキナ酸を工業的規模で製造するために、キナ酸をクロロゲン酸として含む農産廃棄物であるコーヒー粕に着目した。クロロゲン酸加水分解酵素(CHase)を生成する糸状菌をコーヒー粕に繁殖させてコーヒー麹を作ると、菌糸体に通常の100倍以上の含量でCHaseが誘導生成された。A.sojaeの菌糸体からCHaseを容易に精製した。精製酵素の酵素化学的緒性質は文献記載のものと同等であった。CHaseを酢酸菌のキナ酸脱水素酵素と共役させて、酸素電極を使用して溶存酸素の減少量で生成キナ酸量を測定する新規なCHase測定法を開発した。 キナ酸を工業的に製造するために、コーヒー粕麹は60度C30分の熱処理に安定であることを利用して、酵素活性を損なわないで栄養細胞と胞子の発芽を停止させたものを固定化微生物触媒とした。これを充填したカラム化触媒塔を使用してクロロゲン酸から等モルのキナ酸とカフェ酸の生成を確認するとともに、コーヒー粕はじめ芋焼酎粕など広くクロロゲン酸を含む未利用農産廃棄物から工業的規模でキナ酸とカフェ酸が得られることになった。
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