研究課題/領域番号 |
19380050
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研究機関 | 山口大学 |
研究代表者 |
足立 収生 山口大学, 名誉教授 (20027189)
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研究分担者 |
赤壁 善彦 山口大学, 農学部, 准教授 (20274186)
品川 恵美子 宇部工業高等専門学校, 物質工学科, 教授 (20116726)
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キーワード | キナ酸の製造 / 酸化発酵 / シキミ酸の製造 / コーヒー粕麹 / 固定化触媒 |
研究概要 |
酸化発酵系及び共役不斉還元系を固定化触媒化して、キナ酸からシキミ酸製造の高効率化を検討した。その結果、酸化発酵系はアルギン酸カルシウムで細胞膜を固定化することで、酵素として使用する細胞膜濃度を高めることができるうえ、固定化触媒その触媒能が低下することなく何度も繰り返して使用できることを明らかにした。卓上多目的反応槽を使用して高濃度キナ酸を仕込んで実験した結果、36時間反応でキナ酸はほぼ100%の転換効率でデヒドロシキミ酸へ変換された。 一方、共役不斉還元系を構成するシキミ酸脱水素酵素(SKDH)とグルコース脱水素酵素(GDH)の固定化にはさまざまな方法が有効であった。親和性を応用する方法、担体への吸着力の利用、イオン結合法、格子構造中への閉じ込め法、包括法、など全てに良好な結果を与えた。なかでもBlue Dextran 2000に親和性が強いことを利用すると、容易に両酵素を固定化酵素触媒にすることができたうえ、遊離の酵素液による反応と同等の反応効率でシキミ酸が得られた。イオン交換体を担体とした場合も、60%以上100%近い反応効率を示した。二種類の脱水素酵素による共役反応系が首尾よく固定化され、円滑に機能することを示す例として、本研究成果は特筆できると確信する。 本研究成果として述べた上記の方法によって、シキミ酸は容易にキログラムレベルの収量を実験室でも達成することができたことは、シキミ酸製造法が隙路となっていたタミフル合成に大きく貢献する技術として、世界中で利用されるようになることが望まれる。 これまでの研究成果と合わせることで、コーヒー粕のような農産廃棄物から容易に高付加価値のある有用物質が生産できることが本研究によって示すことができた。このような次第で、過去3年にわたって行ってきた研究はここに目的通りに完成された。
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