研究課題/領域番号 |
19380052
|
研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
園元 謙二 九州大学, 大学院・農学研究院, 教授 (10154717)
|
研究分担者 |
岡本 正宏 九州大学, 大学院・農学研究院, 教授 (40211122)
|
キーワード | アセトン・ブタノール発酵 / Clostridium / Whole Cell Catalyst / ブタノール生産 / 酪酸添加 / in vitroブタノール変換 / pH-stat流加培養 / 増殖非連動 |
研究概要 |
アセトン・ブタノール(ABE)発酵生産Clostridium saccharoperbutylacetonicum N1-4の静止菌体(Whole Cell Catalyst)を用いて増殖非連動的な酪酸からのブタノール生産を検討した。酪酸にグルコースを添加したリン酸培地を用いた結果、酪酸消費濃度が増加し、ブタノール生産濃度が増大した。また、pHを5.5に制御し、非解離型酪酸濃度を上げた結果、酪酸消費濃度、グルコース消費濃度が増加し、ブタノール生産濃度が増大した。よって、酪酸消費とグルコース代謝による還元力の再生のバランスによりブタノール生産が効率的に行われることが示唆された。また、酪酸からのブタノール生産に関与する酵素活性が増大した結果、ブタノール生産速度が大きくなった。次に、酪酸を用いたABE発酵の代謝解析を行った。回分培養法と高効率ブタノール生産システムである酪酸を基質としたpH-stat流加培養に関して関連代謝酵素の活性測定を行い、基質および生成物の比速度を比較した。その結果、回分培養と比較して、pH-stat流加培養の比酪酸消費速度、比ブタノール生産速度、BADH活性、BDH活性、PTB活性が大きく、比グルコース消費速度、CoAT活性、BK活性が小さかった。よって、回分培養と酪酸を基質としたpH-stat流加培養の酵素活性は大きく異なり、代謝に影響をおよぼすことが明らかとなった。また、グルコース代謝阻害剤を用いて、ブタノール対酪酸収率を検討した。その結果、ブタノール対酪酸収率はほぼ1mol/molで、酪酸からブタノールに変換されることが明らかとなった。さらに、粗酵素液を用いてたin vitroでの酪酸からのブタノール変換を可能であったことから、N1-4株の酪酸消費はCoAT経路および酪酸生成の逆経路を介して行われることが示唆された。
|