1.酵母Rsp5ユビキチンリガーゼと相互作用する因子としてSna3が同定された。Sna3はエンドソームや液胞に局在するタンパク質だが、細胞内における役割は不明のままだった。SNA3遺伝子を過剰発現すると、トリプトファン輸送体Tat2の分解速度が低下し安定化することがわかった。同時にトリプトファン要求株が25MPaの高圧下で増殖可能となった。Sna3はRsp5のWWドメインと相互作用するPPXYモチーフを持つ。PPXYをAAAYに置換したSna3-AAAYでは、Tat2の安定化と高圧増殖能が認めらなかった。このことは、Tat2のユビキチン化に関与するRsp5機能にPPAYモチーフが重要であることを示唆している。Rsp5結合タンパク質であるBul1を欠損するとTat2が安定化することから、Sna3はBul1と競合してRsp5を負に制御していることが示唆された。実際、BUL1遺伝子を高発現すると、SNA3高発現による高圧増殖能が失われることがわかった。Rsp5は細胞内で多彩な役割を担っているが、ユビキチン化される基質の認識機構は未だ明らかとなっていない。本研究は、Sna3がRsp5とTat2を介在して特異性を規定する因子であることを示唆している。 2.GFPとフルオロセインでラベルした様々なタンパク質について、分子量と回転相関時間の関係を調べた。その結果、分子量が1万程度までのタンパク質については、回転相関時間との間に直線関係が見られたが、より大きなタンパク質では成立しないことがわかった。よって、回転相関時間を指標にした分子間相互作用の解析は、ドメイン間のみで行うことが理想的であろう。
|