夾竹桃より単離したオドロシドA(odoroside A)は、ヒト肺がん由来A549細胞において、炎症性サイトカイン(TNF-α、IL-1)による細胞接着因子ICAM-1(intercellular adhesion molecule-1)の細胞表面の発現誘導を阻害した。オドロシドAは、TNF-αによるIκBαの分解誘導、転写因子NF-kBの核への移行、ICAM-1遺伝子のmRNAには影響しなかったが、TNF-αによるNF-κB応答性遺伝子(ICAM-1、Cox-2、c-FLP)のタンパク質合成を抑制した。しかしながら、オドロシドAは、タンパク質合成を阻害する濃度で、ウサギ網状赤血球ライゼートを用いた無細胞タンパク質合成にまったく影響しなかった。そこで、A549細胞をオドロシドAで前処理した後、数種類の[3H]アミノ酸で短時間標識し、細胞膜上のアミノ酸輸送に対するオドロシドAの影響を検討した。その結果、オドロシドAは、Na^+非依存性のアミノ酸輸送には影響せず、Na^+依存性のアミノ酸輸送を選択的に阻害した。さらに、オドロシドAがNa^+/K^+-ATPaseの酵素活性を抑制することを見出した。以上の結果から、オドロシドAはNa^+/K^+-ATPase標的分子として、Na^+依存性のアミノ酸輸送を選択的に阻害し、NF-κB応答性遺伝子の発現誘導を翻訳レベルで阻害することが明らかになった。 ペペロミア属植物Peperomia dindygulensisより単離したペペロミンE(peperomin E)が、炎症性サイトカイン(TNF-α、IL-1)によるICAM-1の細胞表面の発現誘導、ならびにICAM-1タンパク質の発現を抑制することを見出した。
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