研究課題/領域番号 |
19380059
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
吉村 徹 名古屋大学, 大学院・生命農学研究科, 教授 (70182821)
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研究分担者 |
邊見 久 名古屋大学, 大学院・生命農学研究科, 准教授 (60302189)
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キーワード | D-アミノ酸 / D-セリン / セリンラセマーゼ / D-セリンデヒドラターゼ / カイコ / 細胞性粘菌 / 出芽酵母 / D-セリン定量 |
研究概要 |
本年は次の課題について研究を行った。 1.細胞性粘菌(Dictyosterium. discoideum)D-セリンデヒドラターゼの酵素学的研究 細胞性粘菌の有する真核細胞型D-セリンデヒドラターゼの酵素学的研究を行った。同酵素が亜鉛に対する依存性において、酵母由来の酵素とは異なる特性を示すこと等を明らかにした。 2.スクレイピー感染ハムスターでのD-アミノ酸の動態 BSEのモデル動物であるスクレイピー感染ハムスターにおいて、病態の進行とD-アスパラギン酸およびD-セリン動態との関連を、脳、血清、肝臓、腎臓、および脾臓において検討した。その結果、腎臓でのD-セリンとL-セリンの量比が、正常のハムスターでは週令に伴い増加するのに対し、スクレイピー感染ハムスターでは変化しないことを見出した。 3.D-アミノ酸オキシダーゼを用いたD-アミノ酸の新奇酵素定量法の確立 現在、D-アミノ酸は、蛍光を有するジアステレオマーに誘導体化した後、HPLCにより分離定量している。本定量法は、D-アミノ酸とL-アミノ酸を同時に検出するため、D-アミノ酸に対し大量のL-アミノ酸が存在する生体試料などでは、L-アミノ酸のシグナルに隠れるためD-アミノ酸の検出が困難となる。そこで、D-アミノ酸オキシダーゼによってD-アミノ酸から生成するα-ケト酸をα-ケト酸特異的な蛍光試薬によって修飾し、これをHPLCにより分離定量する方法を開発した。修飾試薬との反応を有機溶媒中で行うことにより、L-アミノ酸の加水分解を押さえるなどの改善の結果、D-アラニンを初めとする8種類のD-アミノ酸を1μMの感度で定量することが可能となった。本研究ではまた、この定量法に使う分裂酵母のD-アミノ酸オキシダーゼのシステイン残基の修飾による安定化も行った。
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