1.AtCSP3の下流で調節を受ける遺伝子のマイクロアレイを用いた同定 AtCSP3による耐凍性の誘導には遺伝子/タンパク質レベルにおける発現調節が関与すると考えられる。そこで、野生株、atcsp3変異株間で転写物量が変動する遺伝子を、マイクロアレイ解析により探索した。各組織より抽出したtotal RNAを調整し、Cy3、Cy5 2色標識法によりラベル化した。アジレント社44KオリゴDNAアレイ(Arabidopsis3)を用いて、標準プロトコールに沿って解析した。データの統計処理、機能同定、クラスタリング解析はGene Springソフトウエアを用いて行った。AtCSP3ノックアウト変異株で発現が2.5倍以上発現量が低下している遺伝子を20個同定した。その中の6個の低温誘導性遺伝子についてRT-PCR法で発現の低下を確認した。特にペルオキシダーゼ、グルタチオンSトランスフェラーゼなど、ストレス下で生じる活性酸素や過酸化物を除去する遺伝子の発現が低下していた。 2.atcsp3変異株のAtCSP3による相補性 atcsp3変異株は野生株に比べて耐凍性がする。この耐凍性の低下がAtCSP3遺伝子機能の喪失に由来することを証明するため、AtCSP3を自身のプロモーターでドライブした遺伝子を、atcsp3変異株に導入した。形質転換体の導入遺伝子ホモの個体を用いて、耐凍性検定を行った。その結果、AtCSP3を導入した変異株では、耐凍性の低下が相補され野生株並みの耐凍性が示された。これらの結果からAtCSP3の機能欠損は耐凍性の低下をもたらすことから、AtCSP3が耐凍性の制御に関わることが証明された。
|