研究概要 |
昆虫摂食阻害物質Azadirachtin, 殺虫活性物質Thiersinine A及びB,種子発芽阻害物質Bacilosarcin A及びBの全合成を中心として,関連する生物活性を有する天然有機化合物の合成研究を展開した。Azadirachtinに関しては,Nazarov環化とBaeyer-Villiger酸化を用いて,Azadirachtin右側部分に相当するモデル化合物の合成に成功した。 Thiersinine A及びBについては,アリルアルコール中間体の立体選択的シクロプロパン化を経由することにより,インドールジテルペン部位の隣接する四級炭素の構築法を確立した。Bacilosarcin A及びBについては,光学活性エポキシドの開環を基本戦略として用い,収束的で効率的な世界初の全合成を達成した。同時に,関連する構造を有する胃潰瘍抑制物質AI-77-B及び抗生物質sg17-1-4の合成にも成功した。この他,クロスメタセシスによる共役ジエンエステルの効率的調製法を開発して,植物成長抑制物質であるElaiolideの効率的な形式全合成を達成した。また,Friede1-Crafts反応と閉環メタセシスを鍵反応とする殺線虫物質クルブラリン誘導体の短段階合成法を開発した。さらに,タバコ野火病菌が生産する植物毒素(-)-tabtoxinine-β-lactamの全合成にも成功した。
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