研究課題
我々が昆虫由来の抗トリパノソーマ活性物質として、カイコ蛹より単離・同定したリボフラビンは、ビタミンB2として知られている。リボフラビンはin vitroで抗トリパノソーマ活性を示すのみならず、in vivoでもトリパノソーマ感染マウスへの治療効果を示すが、まだ詳細について明らかではない。今年度はマウスへのリボフラビンの有効な投与法の予備的な検討を行った。その結果、経口投与と静脈注射では、経口投与においてより効果的であること示唆された。In vitroの実験において、全暗条件下では活性が低く、室内光の条件では活性が高いことから、リボフラビンの光分解が抗トリパノソーマ活性に重要であることが示されているが、これと同様に直接血管内に投与されたリボフラビンが活性を発揮するのではなく、経口投与によってリボフラビンが何らかの代謝を受けることが重要であることが考えられる。これまでの探索で、タイワンカブトムシ体液中に抗トリパノソーマ活性を見出している。この抗トリパノソーマ活性物質の精製を行っているが、試料を増やす必要があったため、タイワンカブトムシ幼虫を奄美大島にて採集した。これらの幼虫より体液を採取し、以下の精製に用いた。これまでの実験で得られていた結果と同様に、Sep-pakC18逆相カートリッジのアセトニトリル濃度20%の分画に抗トリパノソーマ活性が見られ、逆相カラムを用いた高速液体クロマトグラフィーによる精製において、複数の分画に抗トリパノソーマ活性が見られた。現在これらの分画についてさらなる精製を行っている。
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Bioscience, Biotechnology and Biochemistry 73
ページ: 1520-1526