本研究では、ブラシノステロイド(BR)の生合成・代謝経路上で未解明のままになっているステップの確定や新たな生合成・代謝経路の解明を進める。また、新規BR関連変異体の解析を通して、BRの生合成・代謝の調節機構や新規シグナル伝達因子を明らかにすることを目指している。 (1) BRの生合成経路に関する研究 新規BRの生合成経路上の位置付けを確定するために、重水素標識体前駆体を用いた詳細な代謝実験を行うことにより、新たな生合成経路の解明を目指す。新規経路が明らかになった場合には、数種の植物を用いて、植物界で普遍的に機能しているか否かを検証する。 (2) BRの不活性化代謝経路に関する研究 シロイヌナズナのCYP734A1(BAS1)はBRのC26位を水酸化することによってBRを不活性化することを既に明らかにした。イネではCYP734Aのホモログが存在するが、BRの不活性化に関わっているか否か検証する。また、BR代謝に関与していると考えられる変異体が幾つか得られており、それらの変異体の解析を通して、新たな不活性化代謝経路の解明を目指す。 (3) BRシグナル伝達因子の解明研究 新規BR関連変異体を見出した国内外のグループとの共同研究を通して、BRの新たなシグナル伝達因子の解明や生合成調節との関わりが示唆されている転写因子の解析を進める。
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