研究課題/領域番号 |
19380070
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
園山 慶 北海道大学, 大学院・農学研究院, 准教授 (90241364)
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研究分担者 |
渡辺 純 北海道大学, 創成科学共同研究機構, 特任准教授 (10374729)
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キーワード | プレバイオティクス / 難消化性オリゴ糖 / 米品種 / 腸内細菌 / アレルギー / Candida albicans |
研究概要 |
免疫疾患をプレバイオティクスによって予防・改善することの科学的基盤を、以下の三点について解析した。 1.発育初期の腸内細菌叢が発育後のアレルギー発症に及ぼす影響を明らかにする目的で、妊娠・授乳期にフラクトオリゴ糖(FOS)を摂取させた母マウスから出生した仔マウスの盲腸内容物DNAを用いてPCR-DGGEにより細菌叢を比較した結果、母マウスのFOS摂取は腸内細菌叢の垂直伝播を介して仔マウスの腸内細菌叢の形成に影響することが示された。このことをNC/Ngaマウスの自然発症アトピー性皮膚炎モデルに適用したところ、発育後に発症した皮膚炎スコアおよび引っ掻き回数ならびに炎症性サイトカインおよびケモカイン遺伝子発現は、離乳後のFOS摂取の有無にかかわらず、母マウスがFOSを摂取した仔マウスにおいて低値を示した。この結果は発育初期の腸内細菌叢が発育後のアレルギー発症に影響を及ぼすことを示唆する。一方、接触過敏症モデルにおいては、発育初期の腸内細菌叢よりもむしろ発症時の菌叢の影響が大きいことが示された。 2.異なる品種の米を摂取した際の腸内細菌叢の変化がアレルギー発症に及ぼす影響を明らかにする目的で、4品種の米のいずれかを主成分とする精製飼料をマウスに摂取させ、1.と同様に腸内細菌叢を比較したところ、品種に特有の腸内細菌叢が形成されることが示された。また卵白アルブミン特異的アレルギー性下痢症モデルにおいては、摂取する米品種が発症に影響することが示された。 3.消化管におけるCandida albicans定着がアレルギー疾患の発症・増悪に及ぼす影響を明らかにする目的で、我々が開発したC. albicans定着マウスを用いて検討した結果、アレルギー性下痢症、接触過敏症およびコラーゲン誘発関節炎の症状がいずれも増悪することが示された。
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