研究課題/領域番号 |
19380071
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
原 博 北海道大学, 大学院・農学研究院, 教授 (70198894)
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研究分担者 |
比良 徹 北海道大学, 大学院・農学研究院, 助教 (10396301)
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キーワード | 消化管ホルモン / 食品ペプチド / 消化管内分泌細胞 / コレシストキニン / Glucagon-like peptide-1 |
研究概要 |
・食欲抑制作用を有する消化管ホルモシコレシストキニン(CCK)の分泌を刺激する食品ペプチドの探索 種々の豆よりペプシン分解物を調製し、CCK産生消化管内分泌細胞株STC-1からのCCK分泌活性を調べた。その結果、ふじ豆(Dolichos lab lab)ペプトンが、これまで当研究グループで見出された大豆βコングリシニンペプトンよりも強力にCCK分泌を刺激することを見出した。さらに、活性ペプチドが由来する分子量約50kDaの新規たんぱく質を同定し、「Dolicholin」と命名した。 また、ビール酵母を熱水、あるい種々のプロテアーゼ処理したサンプルを調製し、同様にCCK分泌活性を調べたところ、加水分解物に加え、熱水抽出サンプルに強力なCCK分泌活性が見出された。この熱水抽出物はプロナーゼ処理により失活したことから、活性本体がペプチド(たんぱく質)であることが示された。 アセトニトリルによる溶媒分画を行ったところ、可溶性画分に活性が濃縮された。ゲル濾過クロマトグラフィーにより、分画、分取したところ、分子量1000以上の画分が10%、それより低分子の画分は90%に分離された。これらをこの組成比率を反映した条件でSTC-1細胞に作用させたところ、低分子画分に弱いCCK分泌活性が見られ、高分子画分には強いCCK分泌活性が見られた。これにより、含量の少ない高分子画分にCCK分泌を刺激するペプチド(タンパク)存在することが明らかとなった。 ・インスリン分泌増強作用を有する消化管ホルモンGlucagon-like peptide-1(GLP-1)の分泌を刺激する食品ペプチドの探索種々の食品たんぱく質加水分解物を調製し、GLP-1産生消化管内分泌細胞株GLUTagからのGLP-1分泌活性を調べた。その結果、トウモロコシの難消化性たんぱく質Zeinのパパイン分解物に強いGLP-1分泌活性があることを見出した。 ・ラットにおけるZeinパパイン分解物(ZeinH)によるGLP-1分泌 上述のZeinHのラットにおけるGLP-1分泌作用を検討するため、門脈にカテーテルを留置し、小腸各部位(十二指腸、空腸、回腸)に結紮ループを作成し、これらのループにZeinHを投与して、門脈血中へのGLP-1分泌を観察した。その結果、ZeinHを回腸部位に投与した際に最も大きなGLP-1分泌応答が見られた。十二指腸、回腸投与では回腸投与よりも弱い分泌応答が見られた。これにより、ラットにおいて、GLP-1分泌細胞が多く存在する回腸部位においてペプチドへの感受性が高いこと、ペプチドはGLP-1産生細胞に直接作用してGLP-1分泌を刺激することが明らかとなった。
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