研究分担者 |
宮城 豊彦 東北学院大学, 教養学部, 教授 (00137580)
井良沢 道也 岩手大学, 農学部, 准教授 (40343024)
佐々木 長市 弘前大学, 農学生命科学部, 教授 (30162374)
齋藤 宗勝 盛岡大学, 短期大学部, 教授 (70133254)
赤田 辰治 弘前大学, 遺伝子実験施設, 准教授 (10250630)
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研究概要 |
白神山地の地すべり地において,地すべり微地形・土壌条件とそこに成立している植物群落の関係を調べた。馬蹄形滑落崖と凹凸の少ない移動体からなる小規模地すべり地では,植物組成は,1)ブナ林に特徴的な種の常在度が高いグループ,2)サワグルミ林に特徴的な種からなるグループ,3)それらの識別種を持たないグループの3つに分けられ,それぞれ,1)尾根・滑落崖上部,2)移動体下部,3)それらの中間部という地形条件に対応して存在する。尾根では土壌の撹乱が少なく比較的乾燥傾向の立地に生育する種が分布する。また,移動体では,地すべりによる土壌撹乱や滑落崖からの運搬土砂の堆積場に3)グループが,移動体末端ではすべり面に沿った地下水湧出による湿潤な環境で2)グループが分布する。一方,移動体が凹凸に富む地すべり地(高倉森)では、堆積的環境にありやや湿潤な線状凹地部に3)グループが存在する。以上のように,地すべり地では微地形に対応した植物群落が成立している。そこでは,ブナ林の高木層を構成するオーダーやクラスの識別種・標徴種はブナ・シナノキ・ベニイタヤであることが分かった。 また,ブナの多様な環境応答にかかる80種類の遺伝子を単離した。 以上の結果は,白神山地の森林植生の種構成や分布の多様性に,地すべり地の存在が関係していることを示唆しており,ブナについては,今後遺伝子多様性の面からも検討する必要性を示している。
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