研究課題/領域番号 |
19380082
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
井出 雄二 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 教授 (90213024)
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研究分担者 |
齊藤 陽子 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 助教 (00302597)
後藤 晋 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 准教授 (60323474)
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キーワード | 森林生態系 / 遺伝的多様性 / 地域スケール / 森林保全 / 管理単位 |
研究概要 |
1)更新のタイプや更新段階の違いが遺伝的多様性に及ぼす影響についてウダイカンバでは、これまでに成木密度の異なる林分における繁殖成功の評価および花粉の遺伝子プールの多様性と構造の評価から明らかにした、交配最適密度、成木の低密度化が次世代集団の空間的遺伝構造形成に及ぼす影響について、補強するデータを取得した。また、モミでは、成熟段階の異なる林分の核および葉緑体DNAの分析結果から、個体間距離(密度)や林分面積と多様性との間の関係を明らかにした。2)標高や傾斜など林地条件と遺伝的多様性の関係コナラについては、秩父山地の立地環境および標高の異なる(140-1200m)15集団について解析を行ったが、標高と遺伝的多様性の間には傾向は認められなかった。一方、水分条件のよい立地環境にある集団の遺伝的多様性が高く、尾根や山頂といった水分条件の悪い立地では低かった。これは、尾根などではコナラの更新と成林が制限されているためと考えられた。ミズナラについては、3)の調査から標高と遺伝的多様性の一般的傾向を確認した。3)地形的バリアーが遺伝的多様性に及ぼす影響ミズナラについて、秩父集団の解析が早期に終了したため、他の地域における一般性を確認することとし、南木曽地域において同様の遺伝解析を行った。その結果、過去の分布変遷と地域の遺伝構造との間に密接な関係を認めたほか、稜線が地形的バリアーをなしていることも確認された。 以上から、樹木種の遺伝構造の形成には、広域的にはこれまで明らかになっているように、当該樹種の分布変遷が大きな影響を及ぼしているが、地域的なまとまりの中では、標高の高い稜線や気象条件などにより、集団間の遺伝子の交流が制限されていること、また、林分単位で見ると、更新のパターンや、個体密度などにより次世代の遺伝構造が規定されることが明らかにできた。
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