研究概要 |
(1)平成19年度にガラス温室順化を開始し,平成20年度より土壌温度制御装下で養苗したショウロ,アミタケ,クマシメジを定着させた菌根苗計約100本を大型ポットに移植し,同条件下と野外マツ林下において養苗し成長比較を行った.その結果,両条件下で苗の継続的な成長が確認され,土壌温度制御装下においてより旺盛な苗成長が見られた.しかし,子実体発生は確認できなかった.これら菌根苗における土壌中の菌糸体量の定量のため,リアルタイムPCRによる菌体量の定量について検討した. (2)19年度に菌根合成法を確立し,平成20年度に胞子接種法を確立したツチグリについて,種々の樹木実生(マツ科,ブナ科)との菌根形成能について検討した結果,いずれの樹種においても簡易に菌根苗を作出できることを明らかにした.また,簡易な胞子接種法においては,最適な胞子濃度があることを明らかにし,菌根苗を効率的に生産する基盤技術を確立した. (3)20年度年に確立したタマゴタケ類について菌根合成を行った結果,本分類群では世界で初めて菌根形成に成功した.このうち菌根量の比較的多いアカマツ苗について,ガラス温室での順化を開始した.また,同様に,ウスムラサキホウキタケとシモコシでも菌根合成に成功し,苗の順化を開始した. (4)優秀な食用きのこ類の菌株収集を継続した結果,アンズタケ,ニセマツタケ,ドウシンタケ,ヤマドリタケモドキ,ニンギョウタケ,アカハツの培養株を確立できた.
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